SynologyのNAS「DS220+」で写真と動画を保存する。RAID1でストレージを作った
カメラで撮った写真や動画、その他の各種ファイルを保存するために、SynologyのNAS「DS220+」を購入しました。
これまで外付けHDDを使っていたのですが、バックアップと大容量化、外出先からのアクセスを兼ねてNASを選択。
ネットワークやサーバーについての知識がほとんどない素人による初めてのNASですが、思ったより簡単に設定でき、自分だけのクラウドストレージができて満足しています。使ってみた感想や設定などを簡単にまとめました。
SynologyのNAS「DS220+」を購入
QNAPなどいろいろ迷ったけど、主に見た目や価格などでSynologyの「DS220+」を選択。2021年6月頃に購入しました。
とりあえず本体の外観から。
前面には、状態を示す各種LEDライトやUSBポートなどがあります。
背面ポートはこちら。
- LANポート × 2
- USB 3.2 Gen 1ポート × 1
- ※前面にUSB 3.2 Gen 1ポートがもう1つある
- 92mm冷却ファン × 1
- 電源ポート
- セキュリティワイヤー用スロット
- リセットボタン
サイズについて。
NASの設置場所はWi-Fiルーターの近くになると思うので、これぐらいのスペースは確保しないとですね。
高さ | 165mm |
幅 | 108mm |
奥行き | 232.2mm |
重量 | 1.3kg |
サイズのイメージとして。これぐらいの大きさです。
個人的には、ほどよい大きさかと思いました。大きすぎて邪魔になることはなさそう。
ちょっと謎比較ですが、ノートPC(13インチMacBook Pro)とのサイズ比較です。
付属品は以下。新たに買い足すものはないはず。
- AC電源
- LANケーブル × 2
- NAS初心者ガイド
- クイックインストールガイド
- HDD固定用のネジ
今回の「DS220+」は、2ベイ仕様。HDDが2本入ります。
「10TBのHDD」を2本入れた
一般的なHDDは1日8時間ぐらいの稼働を想定して作られているそうですが、今回は24時間365日の稼働を想定しているNAS用のHDDを購入しました。要するにつよいハードディスク。
10TBを2本購入しました。大容量HDDの価格もこなれてきているとはいえ、10TBのお値段……。
このHDDに専用トレーを取り付けます。
工具は必要なし。手でパチっとはめるだけでした。
NAS本体にHDDを差し込みます。
電源を入れれば、ハード周りのセットアップは完了。
ソフト周りのセットアップ
セットアップの細かい手順は省略します。画面の指示に従えばできるはず。セットアップできる自信がない人は、NASは避けたほうがいいかもしれない……。
PCブラウザに「http://find.synology.com」を入力すれば、NASに簡単にアクセスできました。
NAS用のOSをインストール。
ちょっとややこしいなと思ったのは、アカウント周り。
登録&設定が3つほど必要でした。初見では違いがわかりづらかったので、簡単に記載しておきます。
- 管理者アカウント…自分のNASへのアクセスに必要
- Synologyアカウント…Synologyオンラインサービスのアクセスに必要
- QuickConnect設定…外部からNASにアクセスするときに必要
セットアップが完了すると、PCブラウザからNASのさまざまな情報にアクセスできるようになりました。
MacのFinderからもNASにアクセス可能
これ便利。MacのFinderに、NASをマウントできます。
登録したIDとパスワードで接続すると……
NASにアクセスできました。
PCとNAS間のファイルの受け渡しは、ここでドラッグ&ドロップすればOK。ラクでいいですね。
(Windowsのエクスプローラでの挙動は確認していません。すみません……)
NASで写真・動画をバックアップする
NASを導入した最大の理由である「写真と動画の保存&バックアップ」はこんな感じにしました。
RAID1で保存
これまで撮った写真や動画が消えたら泣いちゃうかも。
今回は10TBのHDD2本で、RAID1で運用します。なので実際に使える容量は20TBではなく、10TBです。
RAID1は耐障害性・冗長性を高めるものであって、正確にはバックアップではないそうな(RAID1をバックアップって書いたら怒られそうな波動を感じる)。まぁそれでも、とりあえずは片方のHDDが壊れても交換・復旧できるはず……。とはいえ、2本のHDDがほんのわずかな差で順番に壊れる可能性もゼロではありません。
またRAID1は、ミラーリングで同じデータを2つのHDDに同時に書き込むため、必要なデータを誤って削除もしくは上書きしてしまうと元のデータが消えてしまい、復旧が大変です。この点に注意が必要ですね。ただ個人的には、写真や動画をNASに放り込むような使い方がほとんどで、削除や上書きの操作はあまりしないので大丈夫なはず(と自分では思っていますが、この考え方が一番危険では? 前フリにならないことを祈ります)
大丈夫だとは思うんだけど念のため、NASに外付けHDDを接続し、そちらにもバックアップを取るように設定しました。
外付けHDDにもバックアップ
今回購入した「DS220+」には、前面と背面にUSB 3.2 Gen 1ポートがあります。
ここに外付けHDDを有線接続し、NAS内のアプリで定期的に自動バックアップするように設定しました。また外付けHDDはexFATでフォーマットしたので、PCに繋げば中身を確認できるのもメリット。
(※NAS内のHDDは、確かext4かBtrfsというLinux向けフォーマットになっているはずなので、NASから取り出してWindows/Macに接続しても中身は確認できない)
NAS内でインストールできるアプリ「Hyper Backup」を使い、外付けHDDに定期的に自動バックアップするようにしました。設定方法を書くと長くなってしまうので、備忘録を兼ねて別記事で改めて書きたいと思います。
Amazon Drive(Amazon Photos)へのアップロードについて
安くて容量無制限のクラウドストレージといえば、Amazon Drive(Amazon Photos)。月額500円ほどで、JPEGとRAWをいくらでも保存できます。写真好きにはありがたいサービス。
NASに保存した写真と動画を、Amazon Driveへ自動アップロードしてくれたら超便利なのですが……、残念ながらできません。諦めるしかなさそう。
調べてみると2020年頃までは、「Cloud Sync」というアプリを使うことでNASからAmazon Driveへの自動アップロードが可能だったみたいです。しかしその後、大人の事情だと思いますが、Amazon Driveへのアップロードは非対応となり、現在(2022年6月)に至ります。
残念過ぎますが、「DS220+」とAmazon Driveは連携できません……!
というわけで、Amazon Driveには手動でアップロードしようかなと思います。毎月1回とか、大きな手間にならない頻度で。
NASを導入したそのほかの理由
NASを導入した一番の理由は、写真と動画の保存&バックアップですが、それ以外の導入理由もあるので記載します。
HDDの容量を増やしたい
これまで使っていた普通の外付けHDDの容量が、そろそろいっぱいになってきました。
また同じHDDを4年ぐらい使っていて、ときどき異音がして怖かったのもあり、そろそろ買い替え時かなと。
外付けHDDをMacBookに接続したり外したりするの面倒だし、大容量HDDに買い換えるついでにNASにしちゃえ!という勢いもあったりして導入に至りました。
クラウドストレージが値上がりの傾向
ここ数年、さまざまなクラウドストレージが値上がりしている傾向にあると思います。
無料アカウントで容量無制限だったGoogleフォトが、2021年6月1日より最大15GBに制限されたのは記憶に新しいところでしょうか。
ちらっと上述したAmazon Drive(Amazon Photos)は、プライム会員費が必要ですが、それでも月額500円ほどで容量無制限とありがたい限り。僕も利用しています。しかし、この先にずっと容量無制限で使える保証はありません。
そんなわけでいろいろ丁度いい機会(?)だし、思い切ってNASにしました。とりあえずクラウドストレージの値上がりに振り回されずに済みます。
ちなみにGoogleフォト(=Google One)を有料版にアップグレードして、今回僕が導入した10TB分の容量を利用したいと思ったら、月額6,500円かかります。年額78,000円の計算。(このほか5TBや20TB、30TBプランもある)
そして今回導入したNAS本体と10TBのHDD2本は、合計で約95,000円でした。金額は非常に悩ましい。
クラウドストレージとNASではどちらにもメリット・デメリットがあり、容量と価格だけで一概に比較はできませんけどね……。
デバイスと場所を選ばない
PCだけでなく、スマホやタブレットからでもワイヤレスでNASにアクセスできるのが便利。こんなふうにiPad miniからもアクセスできました。
またPCと外付けHDDを有線接続する場合、ケーブルが地味に邪魔だったりします。しかしNASなら、Wi-Fiが届く範囲なら家の中のどこにいてもいいのも結構ありがたいですね。
外出先からNASにアクセスできる
モバイルWi-Fiやスマホのテザリング等で、外出先でもNASにアクセス可能。
個人的に利用頻度はそれほど多くないような気もしましたが、あればやっぱり便利ということで、外出先からアクセスできるように設定してみました。
本来であれば、外出先から自宅のNASにアクセスする場合は、自宅ルーターのポートを何やかんやする必要があるみたいなのですが(このへんの技術的なこと全然わからない)、このNASは「QuickConnect」というサービスを利用することで、PCブラウザから簡単にアクセス可能。
スマホのテザリング回線でも問題なく繋がりました。動作も思ったより軽快ですね。問題なく使えそうなレベル。
スマホからのアクセスも簡単。
モバイル回線が繋がれば、「DS file(iOS/Android)」というアプリでNAS内の写真や動画の閲覧・ダウンロードができます。スマホのほうが動作が軽く、いい意味で驚きました。
Googleフォトに圧縮されて画質が劣化した贋作ではなく、無圧縮かつ最大解像度たる原典を無尽蔵に引き出せますね!?!?
※Googleフォトの写真は、設定で無圧縮に変更できます。仮に圧縮されていたとしても、スマホで見るぐらいならそこまで大きな劣化は感じないはずです。
NASの動作・転送速度について
NASってCPUやRAMが入っていて、小さなパソコンみたいですね。「DS220+」の主なスペックはこんな感じ。
今のところ動作はかなり快適です。やっていることと言えばデータの転送ぐらいですけど、特に重いと感じることはありません。
CPU | 2.0GHz/最大2.9GHz デュアルコア(Intel Celeron J4025) |
RAM | 2GB DDR(最大6GBまで対応) |
データの転送速度について。わかっていて購入したから文句はないのですが、決して早くはないです。
例えば、PCと外付けHDDをUSBケーブル(USB 3.2 Gen 1)で接続したときより、NASのほうがやや遅いです。
というのも、USB 3.2 Gen 1の転送速度は5Gbps、このNASはギガビットイーサネットなので1Gbps。ネットワーク速度にも左右されますが、転送速度が少し遅めなのはNASのデメリットでしょうか。とはいえ、個人的にはそれほどストレスは感じないかな……といった印象。
拡張LANポートなどの機材を揃えればNASの高速化は可能みたいですが、今のところはこのままでいいか〜高速化するほどの気力とお金と個人的なメリットはないかな〜と思っています。
SynologyのNAS「DS220+」の感想まとめ
必要な保存容量やバックアップの要否、写真の運用方法(撮ったあとにどう使うのか)など、人によって異なるので、みんなにNASを勧めるわけではないです。
個人的には保存とバックアップがラクになり、ブログで使う写真の編集・書き出しもやりやすくなるといったメリットがあったのでかなり満足です。
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【関連記事】Lightroomの写真をNASで管理する方法についても書きました。
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