「SPD」と「SPD-SL」の違い解説。ロードバイクのビンディングシューズとペダルについて(※初心者向け)

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ロードバイク用のシューズ/ペダルは、「SPD」と「SPD-SL」の2種類があります。この違いについて解説する記事です。

シューズを初めて買おうとする人が、「どっちがいいんだよ」っと迷っているかと思います。僕もめちゃくちゃ迷ったな〜というのを思い出し、これからロードバイクを始める人向けにちょっとそのあたりを書いてみます。

僕は初めに「SPD-SL」を買ったのですが、あとで「SPD」も買いました。どちらが良いと言えるものではありません。両者に特徴があるので、そのあたりについて解説します。

※記事がやや長めなので、目次から見たいところに飛んでもらったほうがいいかもです(>_<)

目次

「SPD」と「SPD-SL」の前提知識

共通する前提知識について軽く触れます。

「SPD」と「SPD-SL」、どちらも走行時にシューズの裏とペダルを固定することで、効率的にパワーを伝達する仕組み。

走り出す際、シューズでペダルを踏むと「パチッ」と固定されます。停車前にかかとをひねることで解除可能。信号などで一時停止する際は、一般的に左足だけ外して地面に足を付きます。

シューズとペダルを固定するため、停車しようと速度を落とした際に、うまく固定を解除できずコケてしまうことを「立ちゴケ」といいます。初心者あるあるです。みんな一度はコケるので初めは安全な場所で練習してコケておきましょう!w

SPD-DLペダル

基本的には以下の組み合せで使います。

  • SPD専用シューズ + SPD専用ペダル
  • SPD-SL専用シューズ + SPD-SL専用ペダル

つまりSPD同士、SPD-SL同士で使うということ。逆に言えば「SPDシューズ + SPD-SLペダル」みたいな組み合わせはできないってことです!

(ただし、SPDとSPD-SLの両タイプ対応シューズというモノも少数ながら存在します。)

ロードバイク用の各ペダル

左がSPDペダル、右2つがSPD-SPペダル

「SPD」のシューズとペダルについて

まずSPDは、基本的にマウンテンバイク向けとされています。

が、別にロードバイクで使ってもまったく問題ありません。実際にロードバイクでSPDを使っている人はたくさんいます。

なぜならSPDシューズは歩きやすいのが特徴の1つだから。歩きにくいSPD-SLシューズ(詳細は後述)よりも、利便性を重視してSPDシューズを使う人は少なくないですね。

シューズとペダルの固定力はやや弱めで外しやすいため、立ちゴケしづらいのもいいところ。

またデザインですが、製品によっては普通のスニーカーのようなデザインのSPDシューズも販売されており、ロードバイクガチ勢っぽく見られたくないという人にはいいかもしれません。

「SPD」のポイント

  • 歩きやすい
  • SPD-SLよりは立ちゴケしづらい…はず
  • 製品によっては普通のスニーカーのようなデザインもある(ロードバイクガチ勢っぽく見えない)

ではSPDペダルから見てみましょう。大体こんな形なので見るのが早い!

例えばこちらはシマノの「PD-ED500」。裏表どちらでもシューズがハマる両面タイプ(後述します)です。

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こちらはシマノ「PD-ES600」。片面タイプですが、軽量なのが特徴。

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SHIMANO(シマノ) PD-ES600 SPDペダル EPDES600

ちなみに僕が使っているのはクランクブラザーズ社の「エッグビーター3」というSPDペダル。ユーザーはやや少数派かもしれませんが、デザインが好みでこれを選びました。

レビュー/インプレ記事はこちら
クランクブラザーズのSPDペダル「エッグビーター3」感想。見た目やメリット・デメリットなどをまとめた

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エッグビーター3

これらのペダルに”パチッ”とはめて固定できるのが「SPDシューズ」。

靴というファッション性のあるものなので、各社がいろいろなデザインで販売中です。あくまで一例ですが、僕のSPDシューズはこんなの。一見すると普通の靴に見えなくもない…でしょうか。

GIROのSPDシューズ「Empire VR90」

で、肝心なのはシューズの底(アウトソール)。特徴としては以下です。

靴底がスニーカーのようなゴム製で歩きやすい
ネジ穴が4つ(前後で調整できるように4つある)

SPDシューズの裏

SPDシューズの裏

この2つのネジ穴に「クリート」と呼ばれる止め具を装着。

各社でクリートの形状が異なり、互換性はありません。下記はクランクブラザーズ製のクリート。シマノ製のクリートの形状はまたちょっと違います。

SPD用のクリート

クリートをSPDシューズに装着すると、こんな感じ。

SPDシューズのクリート

この状態でSPDペダルをぐっと踏むと、シューズとペダルが噛み合って”パチッ”と固定されます。固定することを、”(クリートを)キャッチする”なんて言うこともあります。

そして固定を解除するときは、かかとを外側にねじると外れる仕組み。

SPDペダルとシューズ

靴底はゴム製になっていることが多いので、自転車を降りても普通のスニーカーのように歩けます。これが便利で、観光地では自転車を降りて徒歩で巡りたい場合、カフェやパン屋に寄りたい場合などは歩けるほうがラクかもしれませんね。

SPDペダル各製品ピックアップ

上記で紹介したシマノ「PD-ES600」。

片面キャッチタイプ(クリートがハマるのは表側だけ)。重さ279gの軽量モデル。

 

こちらも上記で紹介したシマノ「PD-ED500」。

両面キャッチタイプ(裏表どちらでもクリートがハマるため、クリートキャッチしやすい)。しかし両面キャッチはちょっと重くて442g。

 

こちらは「PD-T421」。表はSPDペダルですが、裏側はフラットペダルになっており、スニーカーで街乗りする際にも使いやすいです。

重さ418g。

 

SPDペダルはシマノ製を選ぶ人が多いと思うのですが…、一応上記で紹介したクランクブラザーズの「エッグビーター3」も載せておきます。

4面でキャッチという機構を備えており、クリートキャッチしやすいと感じています。重量も軽めで重さ280g。

SPDシューズ各製品について

各SPDシューズの違いとして「留め方」が上げられます。

留め方は、大きく分けて「靴ヒモ・マジックテープ・ダイヤル式」の3タイプ。主な特徴は以下。

シューズの留め方についてザックリ解説

  • 靴ヒモ…足にフィットしやすいが、脱ぎ履きがちょっと面倒
  • マジックテープ…脱ぎ履きしやすいが、やや子どもっぽく見えなくもない見た目、フィット感が弱めで気になるかも
  • ダイヤル式…脱ぎ履きしやすく、締め付け具合も調整しやすい。ガチシューズ感が出るのを苦手に思う初心者の人もいるかも

GIROのSPDシューズ「Empire VR90」

例えばこれは靴ひもタイプ

また高価なシューズほど、軽量でソール(靴底)が硬い傾向にあります。

軽量だとペダルを漕ぐのがラクになります。ソールが硬いとパワーロスが少なくなり、ペダリングの力を効率的に伝達できますが、あまりにも硬いと疲れやすくなるかもしれません。

各々の足の形は様々なので、できればお店で試着して選ぶのが良いかと思います!

あとは好みデザインであること。お気に入りのシューズだサイクリングが楽しくなるのは間違いありません。休日にこれを履いて出かけたいと思うようなシューズを選ぶのがおすすめ。

あわせて読みたい
「GIRO EMPIRE VR90」の感想。軽量SPDシューズで、デザイン性も高い ロードバイクに乗り始めてからSPD-SLシューズを使っていたのですが、利便性と興味本位でSPDシューズに手を出してしまいました。いわゆる歩きやすいほうのビンディングで...

 

「SPD-SL」のシューズとペダルについて

SPD-DLは、まさにロードレースのために作られたシューズとペダル。

シューズとペダルの固定力が強めで、SPDよりもしっかりとパワーを伝達可能。引き足(ペダルを引き上げること)もやりやすい。要するに、遠くまで早く走ることに重きを置いたものになります。

一方、SPDとは違ってクリートがむき出しなので歩くことには向いていません。決して歩けなくはないのですが、ちょっと歩きにくいですね…。

「SPD-SL」のポイント

  • シューズとペダルの固定力が強く、パワーロスが少ない。走りやすい
  • 歩きづらい
  • ロードバイクガチ勢っぽい見た目が気になる人もいるかも?

ではペダルを見てみます。シマノの「PD-5800」。SPD-SLペダルは大体こんな形です。

レビュー/インプレ記事があるのでよろしければどうぞ。
シマノ105のビンディングペダル「PD-5800」レビュー。取付け簡単だしビンディングデビューにもってこい!

PD-5800

シマノ以外にも各社がSPD-SLを出しています。

こちらはルック。(”LOOKサイクリングインターナショナル”というフランスのメーカーのこと)

LOOK(ルック) Keo Blade Carbon Cr ペダル ブラック (16 Nm) [並行輸入品]

 

こちらはタイム。(”TIME”というフランスのメーカーのこと)

TIME(タイム) Xpro 15 Titan Carbon ペダル Black/White [並行輸入品]

 

こちらはスピードプレイ。僕が使っているものを載せます。

レビュー/インプレ記事があるのでよろしければどうぞ。
ビンディングペダル「スピードプレイ(SPEEDPLAY)」レビュー。着脱が超ラクで使いやすいぞコレは…!

スピードプレイのペダル

これらのシマノ・ルック・タイム・スピードプレイはSPD-SLに分類されますが、それぞれに互換性はありません。つまりそれぞれに専用のペダル&クリートのセットが必要です

なので基本的には1つのメーカーを使い続ける人が多いかなぁという印象。

ちょっと個人的な話になりますが、僕はシマノ「PD-5800(105のペダルです)」を最初に買って、その後セールで手に入れたスピードプレイを試したら気に入ったので、今のところスピードプレイを使い続けています。

 

これらのSPD-SLペダル用のシューズがこちら。ロードレース用シューズ感のある見た目(要するにガチっぽい見た目)の製品が多めです。

やはり靴なのでファッション性があり、各社がいろいろなデザインで販売中。あくまで一例ですが、僕のSPD-SLシューズを載せておきます。

SPD-SLシューズ

シューズの底(アウトソール)はこんな感じ。

多くの場合、3つのネジ穴があります。

SPD−SLシューズのアウトソール

この3つのネジ穴に「クリート」と呼ばれる留め具を装着。

SPD-SL用の「クリート」がこちら。一例としてユーザーが多そうなシマノ製をあげます。

シマノの新品のクリート

このクリートを、このようにSPD-SLシューズに装着。ボルトで固定します。

シマノ製SPDクリート

この状態でSPD-SLペダルをぐっと踏むと、シューズとペダルが噛み合って”バチン!”と固定される仕組み。

 

またSPD-SLはクリートがむき出しになっているため、歩きづらいです。加えてそのまま歩くとクリートが削れて消耗が早くなる点にもご注意を。

とはいえ決して歩けないわけではありません。各社が販売している「クリートカバー」を装着すると、ある程度は歩くことができます。

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シマノ クリートカバー ペア SM-SH45 ESMSH45

「SPD-SL」はSPDよりも固定力が強めなので、漕ぐ力を推進力に変える”パワー伝達”が効率的と言われています。

一方で固定力が強いため立ちゴケしやすい傾向も。僕もSPD−SLで立ちゴケしました…(痛) 最初は交通量の少ない場所でクリートキャッチの練習をするのがいいかなと思います。

SPD-SLペダル各製品ピックアップ

上記で紹介したシマノ「PD-5800」。

いわゆる105というコンポーネントグレードのペダルです。重さ285g。

レビュー記事はこちら

 

ちょっとマイナーかもしれませんが、スピードプレイユーザーなので個人的におすすめしておきますw

シマノ製との大きな違いは、両面でクリートキャッチが可能な構造。ペダルに裏表がなく、ハメやすいと思います。重さは280gほど。

▶レビュー記事はこちら

クリートの取り付け位置も大事

SPD・SPD-SLともに、クリートの取り付け位置を微調整できます(特にSPD-SLは細かい調整が可能)。

この取り付け位置・クリートの角度によって、漕ぎやすさ(ペダリング効率)などが変化します。取り付け位置が悪ければ、膝の痛みの原因になることも。

このあたりの調整はちょっと難しいかもしれないので、試走しながら色々試していくのがいいかなと思います。こだわり出すと奥が深いのです…。

 

まとめ:SPDかSPD-SLか

ロードバイク用シューズとペダル

SPDは初心者向けでSPD−SLはロードバイクに慣れてきた人向け、と言われることもありますが…、初心者か否かではなく自分のスタイルで選ぶのが良いかなと感じます。

例えば初心者でもガッツリ走り込みたいのであれば、最初からSPD-SLを選ぶのが良いと思います。

逆に観光地を歩くシーンが多かったり、ゆるいカフェサイクリングを楽しみたいのであればSPDが良さそう。実際にロードバイク歴が長くても、自分の乗り方に合わせてSPDを選んでいる人は少なくありません。

初心者だからSPDといった認識は一旦脇に置き、自分がどのように自転車を楽しみたいかを考えるのが、良い選択軸となりそうです。

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